指笛楽友会通信 No.
40
平成22年2月
いつの間にか暦のうえでは立春も過ぎて梅の花もほころびはじめました。次は桜の開花が待ち遠しいこの頃です。皆様お変わりございませんか。
さて、いよいよ冬季オリンピックが始まりました。バンクーバーでは世界各地から選手達が集い、熱い戦いが繰り広げられています。世界のトッププレーヤーの鍛え上げられた動きは、何度見てもすばらしいものがあり、惹きつけられます。この選手はどういう思いで、どんな練習に耐えてきたのか、ひとりひとりにそれぞれのドラマがあると思います。そんなことを考えながら、ついついテレビの前に居座っております。日本選手の活躍にも期待したいところです。
指笛楽友会通信本年第1号をお届けします。
(目 次) (ページ)
1.静海先生にお伺いしました ・・・・・・・・・・・・・・1
2.指笛指導に関する会員アンケート紹介 ・・・・・・・・・・・・・・3
3.事務局からのお知らせ ・・・・・・・・・・・・・・7
♪♪♪♪♪♪
去る1月29日、静海先生に大三先生の近況をお伺いしましたのでご紹介します。
1.静海先生にお伺いしました
お正月を迎えて、私自身の具合が悪くなることが一番困る、ということを痛切に感じております。おかげさまで私自身は風邪をひかず、大三も一度も風邪をひかない状態が続いています。
今、私の一番大事な仕事は、大三の痰を吸引すること、これをメインに看護をしています。年を取りますと、痰がからむようになりますが、お医者さんに尋ねると、若いうちは、唾液を自然に飲んでいるのだそうです。年を取ってくるとこれが溜まってしまうのですね。今の状態なら吸引する必要があるのか、その必要はないのか、だんだんと判断ができるようになりました。そして吸引が必要なときは、夜中でも明け方の4時ごろでも吸引するのです。お年寄りは、肺炎で悪くなる方が多いのですが、私がこうして吸引することによって肺炎にならないことを確信しているのです。もともと内臓の疾患はないですので、これをすることによって大三の健康状態が保たれていると思います。喉の奥の痰を取るので乱暴にはできません。愛情を込めて、心を込めてやるのです。人生観がとても豊かになりました。人としての気持が、最高の気持がないとできないのです。
今日は3時30分に看護婦が来るスケジュールになっています。でも12時過ぎに様子を見ると、臭いがあることに気がつきました。1人でやろうとすると私自身の力では1時間以上もかかってしまいます。かといって3時30分まで待てないし、困っていましたが、24時間体制で連絡ができることを思い出して、すぐに連絡しました。そうしましたら、ちょうど担当の方の都合がよくて、お昼に来てくれました。看護婦さんからは、「奥さんが1人でやると大変ですよ、左肩が痛いということも知っています。また、3時30分に来ますから」、と言ってくれました。その時、大三の方を見ると、看護婦さんの目をしっかり見ていまして、感謝の気持ちで溢れていました。私はそれを見て涙が出ました。大三の視線が看護婦さんにも通じたのです。顔の表情は表せませんが、目が生きて、コミュニケートの真実がわかることが幸せだと思います。大三が、「ありがとう」、と言っているのですよ、私も心からお礼を言いました。
毎日の生活が、人としての一番大事なものを大事にして行われているということが、大きな大きな祝福であると思います。神様が祝福しているのだと思います。
祝福と言えば、アメリカにいる長女のもとにも祝福が訪れています。指笛音楽75周年の発表会のときに初めて、銀座協会に3年前に入られた藤井さんという牧師さんが聞きに来てくれました。この方から、初めて指笛音楽を聴いて、「素晴らしい会でした」という感想をいただきました。また、感想に添えて、「神が祝福して民の源として約束する、とアブラハムを召しだされたのはアブラハムが75歳のときです。田村大三氏の75年は、アブラハムを、神が祝福して民の源として約束した年と同じ年です。神が祝福して民の源として約束してくださったのです。」と祝福してくれたのです。
娘の話しですが、先日アメリカの恵から電話がありました。恵の姉たちがずっと以前に渡米し、いろいろな事情があって、日本へ帰るという事態にまでなっていました。そんな折、シアトルでお葬式があり、そこに参列したときに、姉達に家を一軒差し上げるという話しが持ち上がっていたのだそうです。アメリカに骨を埋めるという願いが叶うことになったのです。そんなことが長女の身の上に起こったのです。
神様の方が75年という指笛の記念を祝福したのです。この介護にも神のとこしえの祝福が与えられるという信仰を持っています。迷わないで喜びの介護を続けよう。恵まれ、祝福された介護の日々です。もう6年目になります。
大三の介護をすることを全うすることの一つに歌があります。毎日大三の前で歌っているのです。いろいろな話しをしていますが、その最中に電話があっても、こんな電話があったのよ、と報告しています。大三は聴こうとして目を見ています。そうした話しの流れの中で歌が出てくるのです。先日は「君が代」を歌いました。大三は真剣にまばたきをしないで聴いてくれました。ある著名な牧師先生が、ご高齢のため礼拝の終わりに歌う「頌栄(しょうえい)」を、錯覚を起こして「君が代」に転じて歌い出した話しになり、私もすぐにその場で歌い出したのです。どちらも歌の内容は同じで、永遠に御栄えがあるように、というものです。「君が代」のくだりでは、「苔のむすまで」と歌い終えたところで、大三が「アーメン」というような顔を見せてくれましたが、何かおかしな思いをしてしまいました。
童謡の作詞をしている100歳の「まど・みちお」さんのことが11月に朝日新聞に出ました。「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」などがありますね。「ぞうさん」の歌も大三の前で歌いました。歌うことは私の訓練にもなるのです。心血を捧げて歌うのです。おろそかにはできません。
これからも大三の前で毎日歌っていきたいと思います。
♪♪♪♪♪
2.指笛指導に関する会員アンケート紹介
指笛指導に当たっての注意点など
以前、日本レクリエーション協会から、同協会の事業に指笛音楽の指導を含められないか、とのお話しがあり、2007年12月と2008年12月に東京都レクリエーション協会の事業に参加しました。その際一般の方々に指笛音楽を理解してもらうために、指導・演奏する人たちの経験が役にたつのではないかと考え、楽友会の役員を中心とした経験豊かな会員に対してアンケートを実施しました。
それ以降、皆様にご紹介する機会を失しておりましたが、新年度に当たり、斎藤会長から、皆様の今後の指導に役立つので紹介することにしたらどうか、とのお話しがあり、若干の整理をしてこの通信で紹介させていただくことになりました。
会員の皆様方に少しでもご参考になり、お役に立てば幸いです。
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1.
指笛を始めた動機(きっかけ)はどんなことでしたか。
@
田村先生の演奏に感動して
・
ボランティア活動での演奏をお聞きして
・
指笛発表20周年の演奏をお聞きして
・
田村先生と恵さんの演奏をお聞きして
・
田村先生の演奏をTVで拝見して
・
ラジオで田村先生のお話を聞いて
・
発表会に行き感動した
A
田村先生、静海先生の世界を広めたいと思った。
B 草笛仲間の方々の指笛を聞いて。
C 声帯ポリープの手術で高音が出ず、複式呼吸に変えるために習うことにした。
D 草笛を習いに行ったら偶然指笛を習うことになった。
E 小学生の頃、周りの友達が吹いているのをまねた。
F 外国人にも通じる共通のものを探していて指笛に出会った。
G 野球場で指笛を聴いて。
2.
指笛をどこで、誰に、どのくらいの頻度で習いましたか。
@ 田村先生のお宅で
・
静海先生の指導で月2回、15年くらい習った。
・
指笛の家で月2回程度。
・
音が出るようになって月1回(2人)
・
25の会で月1回、6〜7ヵ月の指導を受けた。その後個人レッスンを受けて16年。
・
25の会で月1回継続中(3人)。
・
月2回6年程度習った。
・
田村先生に延べ10回ぐらい。
A
定期的に習ったことはないが、よく山に行って練習した。
B 指笛の吹き方指導図」のコピーをいただき、自分で試みた。
B マウスミュージックの会で月1回。
3.
指笛らしいしっかりした音が出るのにどのくらいの期間を要しましたか。
@
約5日
A
約2週間で音が出た。2ヵ月ぐらいで指笛らしい音が出た。
B
半月程度
C
1ヵ月程度(3人)
D
3ヵ月(3人)
E
約半年
F
1年程度(2人)
G
指笛らしい音と言われたのは3年
H 3年
4.
簡単な曲が吹けるようになったのは、習い始めてからどのくらいでした
か。
@
習った日に音が出て、その日に「ちょうちょ」が吹けた(1人)。その日に簡単な曲が吹けた(2人)。
A
約1ヵ月
B
数ヶ月
C
約3ヵ月〜4ヵ月(4人)
D
約半年(3人)
E
約8ヵ月
F 数年
5.練習を続けていてなかなか音が出なかったときに、もうやめようと思ったことはありましたか。
@
よくあった(1人)
A
あった(2人)
B
たまにあった(1人)
C
なかった(8人)
D
なかった(1人)すぐに音が出たから。
E
なかった(1人)使命感を持っていたから。
6.
あきらめを乗り越えられた理由はどんなことでしたか。
@
音が早くでて、曲が吹けるようになり、うれしくて、諦めなかった。
A
周りに同じ仲間がいて追いつきたいと思っていた。親戚の前で吹きたいという目標があった。
B
早く指笛で曲を吹きたかった。母の死去により途絶えそうになったが、先生からのお声があり続けられた。
C
音が出るのが面白かった。人前でやると珍しがられた。
D
いつでも思い立ったときに練習できた。教室に通って発表会があるので努力した。
E
ここまできたからもう少しやってみようと思った。友人から正しい吹き方のアドバイスを得られた。
F
種々の先生方が出演される折に声をかけていただいた。
G
自らの演奏で感動を与えられたと感じた時、大きな喜びを得て続けられた。
H
人前で吹いて拍手をいただいたり、OB会、飲み会等での挨拶や自己紹介の際、指笛は喜ばれる。
I
ひたすら吹けるようになるんだと思い込むこと。
J
練習が続けられたのは、興味が持てたということ。
K 指笛を吹けるようになりたい、という気持ち。
7.
指導者の立場として、初心者が練習を断念しないで吹けるようになるま
で誘導するには、どのような工夫、働きかけ、努力が必要でしょうか。
@
口の模型を用い、指笛の原理を理解してもらう。自分の指が適しているかを知ってもらう。音が出せるようになったら簡単な曲を繰り返し練習する努力が必要。
A
声かけが一番。進行状況を聞き、できたら一緒にやるなどの工夫が必要。最初に集中して教えられたらよい。
B
吹いてみたい曲(好きな曲)をその方の指を使って吹いてあげる。指笛の他に口笛、草笛で吹ける楽しさを知ってもらう。皆で一緒に吹く楽しさを知ってもらう。
C
親身になって相手(指導)する。指笛の原理を手指や小道具を用いて説明する。音の芽生え(指笛らしい)を感じ取ったら、それを認め、賞賛し期待をふくらませる。指導者も練習してできるだけ良い演奏を聞かせるように心がける。自分もこのように吹いてみたいと感じとってもらう。
D
ほめること。その人の指を借りてやること(事前に了解が必要)。簡単な理屈を理解させる。簡単な曲を吹けるように勧める。(1曲できると面白くなって続ける人が多い)
E
短い時間でも毎日音を出す。音階が吹けるようになったら、好きな歌を吹けるように毎日吹く。できれば仲間同志で行う。
F
指導に当たっては、理にかなった正しい吹き方を最初に教えることが大切。
毎日の練習が上達の早道であり、練習の大切さを理解して取り組んでもらいたい。指導するための教材の充実も必要。レベルごとに適切に指導していく指導者が必要。厳しさあり、褒めることありでのバランスが大切。
G
音楽の基礎。音の確かな音程。聴く人に感動を与える。指笛音楽指導書の統一。権威ある審査の確立。
H
誠意をもって教えること、できれば模範となる演奏をもって指笛の良さ、魅力を感じさせること。難しいことだが、人間性を磨くこと。
I
根気と努力が必要だと思う。
J
音が出るまで何度もあきらめず、励まし、吹けるようになった後の楽しみを語って夢と希望を持続させる。
K
早く音の出る方法はないか、についての我々の勉強の余地はないか。発表の機会等動機付けの場があった方がよい。
L
仲間、同志、心の兄弟、という思いで人間的に接し、無理のないつきあいを心がけている。自分にできる精一杯のことをしてあげる。
M なぜ音が出ないのかを見極めながら的確に指導する。
♪♪♪♪♪
3.事務局からのお知らせ
(1)去る1月11日に開催された2010年度楽友会総会において、平成22年度の事業計画などが決まりました。以下ご紹介します。
@指笛音楽研究発表会
日 時:平成22年11月20日(土)午後
場 所:練馬区立文化センター 小ホール
(注)詳細が固まりしだい別途ご案内します。
A楽友会通信の発行
22年度も21年度同様4回発行することとし、発行月、編集分担は次のとおりとなりました。よろしくお願いします。
2月:竹中速雄、5月:武井洋子、8月:松谷茂、12月:有吉憲行
(2)平成22年上半期の25の会のお知らせ。
@ 2月27日(土) 担当:松谷
A 3月27日(土) 担当:奥津
B 4月24日(土) 担当:藤好
C
5月22日(土) 担当:河津
D
6月26日(土) 担当:有吉(憲)
注1.いずれも午後2時より田村先生宅で行う予定です。
注2.いずれの日も役員会も開く予定です。
次回の配信は5月号です。
指笛楽友会会長 斎藤秀元
編集責任 竹中速雄